キャスト

沢口靖子(さわぐちやすこ)三木知世・役(佐野小学校三年一組担任)

1965年大阪府生まれ。1984年『刑事物語 潮騒の詩』でデビュー。1985年NHK連続テレビ小説『澪つくし』で全国的に人気を博し、以降、ドラマ・映画・舞台に多数活躍。「科捜研の女」「鉄道捜査官」(テレビ朝日系)、「警視庁機動捜査隊216」(TBS系)、「検事 霞夕子」(フジテレビ系)がある。舞台の代表作品は、1995年「蔵」芸術座、2000年「細雪」帝国劇場、2001年「Bad News☆Good Timing」パルコ劇場、2011年「シングルマザーズ」東京芸術劇場 近年では、2014年「熱海五郎一座」新橋演舞場、2015年「台所太平記」明治座などに出演。。

岩崎未来(いわさきみく)蔵田ミチル・役(場面緘黙症の生徒)

2008年生まれ、東京都出身。
1歳の時、NHK教育テレビの『いないいないばぁ!』でデビュー。
味の素「クックドゥ」や日立「ルームエアコン」などのCMにもに出演。
NHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』で、吉高由里子演じる主人公花子の養女の役に大抜擢。
スクリーンデビューは2013年「100回泣くこと」、以降、2014年「まほろ駅前狂騒曲」、2015年『劇場版 びったれ!!!』や『サイドライン』他、
CM、TVと活躍。本作の場面緘黙症の少女役という難しい役に挑み、内面の繊細さを演じ、新たに注目される。

向鈴鳥(むかいすずと)安川純平・役(ミチルのクラスメート)

2004年生まれ、兵庫県出身。
NHK朝ドラ「ごちそうさん」、NHK朝ドラ「マッサン」、映画「海難1890」「映画」ベイブルース~25歳と364日」河本栄得役他、本作はの安川順平役は初の大抜擢。
母一人の苦しい家庭ながら健気に生きる少年役を熱演。

遠藤久美子(えんどうくみこ)蔵田富子・役(ミチルの母親)

1978年東京都生まれ。1995年 芸能界デビュー
同年、マクドナルドのCM・証明写真編で一躍知名度を上げる。以降バラエティ番組でのレギュラー出演をきっかけに人気を得る。その後も、CM、テレビドラマ、バラエティを中心に精力的に活動。1998年には歌手デビューした。女優業にも力を入れており、2003年のテレビドラマ『ダンシングライフ』で初主演を果たす。
 現在は、映画、テレビドラマ、舞台を中心に、本格的な女優をめざし活動中。
 主な代表作として、2006年から放送を開始したテレビ朝日連続ドラマ「警視庁捜査一課9係」シリーズのレギュラー 垣内妙子役、TBS月曜ゴールデン「駅弁刑事・神保徳之助」工藤美奈子役などがある。

柊子(しゅうこ)安川理恵・役(純平の母親。シングルマザー)

1991年、奈良県出身。栃木県でオールロケを敢行した映画『那須少年記』のオーディションに合格し、映画デビュー。2008年夏、『太陽と海の教室』(フジテレビ系)にてドラマデビュー、NHK朝の連続テレビ小説「まれ」の矢野陶子役で注目を浴びる。

ひし美ゆり子(ひしみゆりこ)霜山苑子・役(佐野小学校の校長)

1947年生まれ、東京都出身。1965年東宝映画入社 1967年~68年ウルトラセブンのアンヌ隊員役で人気を博す。1972年.東宝退社。以後フリー、1975年「新仁義なき戦い・組長の首」(深作欣二監督) 2006年「シルバー假面」(実相寺昭雄監督)ほか、今なおテレビ、映画と活躍、多くのファンを魅了し続けている。

嶋尾康史(しまおやすひと)阿部等・役(佐野小学校の主幹教諭)

1968年生まれ、兵庫県出身。1987年タイガース入団、ピッチャーとして活躍。1997年退団、同年スポーツキャスターに転身。翌年、連続ドラマ「魚心あれば嫁心」で俳優としてデビュー。以後、テレビ、舞台、映画と活躍。

本間淳志(ほんまあつし)河合守・役(佐野小学校の美術教員)

1988年生まれ、東京都出身)本作が初の商業映画デビュー。以後、2016年 『永い言い訳』 ( 西川美和監督)、「 僕らのごはんは明日で待ってる』 ( 市井昌秀監督)、と出演作が続く、期待の新人。

祷キララ(いのりきらら)宮崎静香・役(佐野小学校の養護教諭)

2000年生まれ、大阪出身。2009年「堀川中立売」(柴田剛監督)でデビュー。2012年「Dressing UP」(安川有果監督)主演、国内の映画祭女優賞三冠受賞。以後2015年「ハッピーアワー」(濱口竜介監督)、2015年「脱脱脱脱17」(松本花菜監督)に出演。日本映画界、注目の新人。

仁科貴(にしなたかし)蔵田克二・役(ミチルの父親)

1970年生まれ、京都府出身。父親は川谷拓三。NHK朝の連続ドラマ「オードリー」で人気を得、2008年「アキレスと亀」(北野武監督)、2009年「劒岳 点の記」(木村大作監督)、2016年「道しるべ」主演(田中じゅうこう監督)他。映画中心に活動。

森日菜美(もりひなみ)三木ユリ・役(知世の娘・高校一年生)

2001年生まれ、東京出身。現在高校一年、在学中。
本作が映画初出演。近作では「うさぎ追いし山極勝三物語」(近藤昭男監督)公開待機中

大塚まさじ(おおつかまさじ)・役(薬局の店長)

1950年生まれ、大阪府出身。名曲『プカプカ』で1970年代
の若者たちを熱狂させた関西を代表するミュージシャン。俳優として、NHK銀河ドラマ「この指とまれ」、NHK連続テレビ小説「芋たこなんきん」に出演。2014年には主演映画『父のこころ』あり。

村田雄浩(むらたたけひろ)三木真治・役(知世の夫。中学校数学教師)

1960年東京都生まれ。1980年「思えば遠くに来たもんだ」で映画デビューテレビ「青が散る」「澪つくし」「翔ぶが如く」を経て、92年、伊丹十三監督「ミンボーの女」、そして中島丈博監督の 「おこげ」により、日本アカデミー賞他数々の映画賞を受賞。 その後、映画「マルタイの女」「ゴジラ2000ミレニアム」「釣りバカ日誌イレブン」「助太刀屋助六」「壬生義士伝」「アダン」「理由」「22才の別れ」、テレビ「炎立つ」(NHK)「女検事霞夕子シリーズ」(NTV)「ちゅらさん」(NHK)「スチュワーデス刑事シリーズ」(CX)「火の粉」(ABC)「警視庁黒豆コンビシリーズ」(TX)橋田壽賀子ドラマ「ハルとナツ」(NHK)「渡る世間は鬼ばかり」(TBS)、舞台「ガラスの動物園」「イーハトーボの劇列車」「昭和歌謡大全集」「丘の上のイエッペ」「もとの黙阿弥」「おんな太閤記」と活躍。2007年10月南座公演「風の盆ながれ唄」ではその演技が評価され、2007年文化庁芸術祭優秀賞を受賞する。

星由里子(ほしゆりこ)ハル江・役(知世の母)

1943年東京都出身。1958年、東宝が宝塚歌劇団東京公演にちなんで募集した「ミス・シンデレラ娘」に選ばれ芸能界へ。翌年「すずかけの散歩道」で女優デビュー。
 1961年「大学の若大将」で恋人役“澄ちゃん”を1968年「リオの若大将」まで11作品演じる。他映画では、「お転婆社員」1960年製作者協会新人賞、「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」1996年日本アカデミー賞助演女優賞受賞。舞台「佐渡島他吉の生涯」菊田一夫演劇賞受賞など、テレビでは、NHK朝の連続ドラマ「あぐり」、「科捜研の女」、「こちら本池上署」シリーズでは上品なお姑役を好演。女優業と共に「2時のワイドショー」司会など活動の幅を広げる。

スタッフ

監督・金田敬(かねださとし)

大阪・堺市の廃校。校門に立派な桜の木があり素晴らしいロケーションだった。もうこの下を生徒たちが通り抜けることはない。が、それでも春になれば桜は咲く。誰に見られることがなくても…。ふと、主人公が子どもたちと向き合う姿勢に重なった。教師という大きな幹から沢山の生徒たちが花開くことを願い撮影しました。
〈プロフィール〉1963年大阪府生まれ。大阪芸術大学舞台芸術学科を卒業後、廣木隆一、石川均監督達の助監督として映画・TVで活躍する。1990年に監督に昇進し、単館系映画・Vシネマ作品を監督する。2003年劇場用作品「青いうた のど自慢青春篇」を監督し好評を得る。2007年「愛の言霊」、2008年「春琴抄」、2010年には「アンダンテ 稲の旋律」で本作の桂壮三郎と組み大ヒットを飛ばす。

  •  

脚本・長津晴子(ながつはるこ)

原作を読んで『子ども自身が奇跡』だと感じました。映画化する際に舞台を現代にしたため物語を新しく構築しましたが、この点はぶれないようにしました。大人の都合で翻弄される子供に寄り添い、救おうと奮闘する知世の姿を通し現代の日本における学校教育や社会福祉システム、親子のあり方に何か感じて頂けたら嬉しいです。
〈プロフィール〉米国シラキュース大学映画学科、ニューヨーク市立大学映画学科卒業後、NYのプロダクションにてCM、映画及びテレビ制作に携わる。その後、台北に渡り、映像制作に従事。第3回日本シナリオ大賞準佳作入選『橋になった兵士達』を機に帰国し、脚本に専念。日本シナリオ作家協会所属。
主な作品:日中合作映画『最後の恋、初めての恋』、『about love/tokyo』『ふたりはプリキュア』、『DIABOLIK LOVERS』等。。

  •  

原作・柴垣文子(しばがきふみこ)

学校で声を出せない子、満足に食事をとれない貧しい家庭の子、さまざまな問題が子どもたちの中に渦巻いています。このままでは、子どもは未来だという言葉が泣きます。
私たちは、納得できる未来を子どもたちに手渡せるのか、否か。その岐路に立たされている気がします。
子どもは未来を担う宝だと胸を張って言うために、いま、私たちにできることは何でしょうか。
声なき声を聴きとり、不安や哀しみを共有する。社会全体の問題として子どもの問題に本気で取り組む。それが、苦しい現状を切り拓き、豊かな未来へと近づく道なのではないでしょうか。
私が小説を書いているのは、進む方向を見い出したいと切望するからです。
映画は、解決の糸口が現実の影の内側に潜んでいることを照らし出しています。どの子にも生きる力がある、繋がれば一歩を踏み出せる、という確信が躍動する映像に滲んでいます。光彩にあふれた情景が、ひと筋の貴重な水脈を探り、いまを生きる人の在り方を語りかけてきます。
長い道のりを経て、小説を胸に響く映画として成長させていただいたという感慨があります。
大人にも子どもにも多くの方々に見ていただき、ともに未来を見つめたいと心から願っています。

  •  

企画/製作・桂壮三郎(かつらそうざぶろう)

子どもの未来を切り拓く映画「校庭に東風吹いて」に取り組んでから3年、全国からの激励と支援を得て本作はここに誕生致しました。心からご支援を賜りお礼を申し上げます。本作は長い教鞭生活を経て創作された柴垣文子渾身の小説「校庭に東風吹いて」を土台に、映画のオリジナル性を吟味し製作されました。原作同様、映画の物語の中心を成すのは教師としてベテラン域に達した三木知世である。本気で子ども達へ寄り添い、そして、子ども達への深い愛情に溢れた三木知世。教師として大変魅力的な人物である。この三木知世の教育観こそ現在の教育に最も求められる事ではないかと映画は問いかけます。場面緘黙症の少女の悲しく閉ざされた心へ注ぐ暖かい愛情、少年に襲い掛かる貧困問題の解決へ奔走する三木知世の優しさは少年の涙を希望に変えていきます。
その三木知世を演じたのは、TVドラマ「科捜研の女」のシリーズで活躍中の沢口靖子さんです。沢口さん実に9年ぶりの映画出演です。本作のシナリオ高く評価した沢口さんから三木知世役の出演を快く快諾して頂きました。又、今や日本映画の名女優の一人である星百合子さんをはじめ、子育てに苦しむ母親を演じた遠藤久美子さん、厳しい生活苦を強いられる母親を演じた柊子さん、その二人の好演が作品に厚みを与えています。そして、村田雄浩さん、ひし美ゆり子さん、嶋尾康史さん、仁科貴さん、大塚まさじさんの実力派が脇を固め、祷キララ、本間敦志の若手を配した豪華キャストを実現させました。
映画製作者として、本作の製作にあたっては子どの権利条約を参考とさせて頂きました。子どもは人間としての権利、子どもとしての権利を合わせもつ主体で、それは生きる権利、守られる権利、発達する権利、そして、社会に参加する権利をもち、「子どもの最善の利益」を基本としなければならないと、しかし、日本の子どもを取り巻く教育の現状はこれでいいのかと疑問が沸きます。
競争教育が一段と激化され、競争に勝ち抜く教育が推奨され全ての子どもが健全に学び育つ教育が疎かにされています。その事実は日本が抱える現実社会と重なります。人と人との繋がりが断ち切られ貧困と格差が拡大しているからです。特に、子どもたちの苦悩と悲しみを真に受け止め、子ども達の希望を切り開く学校、家庭、地域の教育力こそ私たち大人の重要な課題だと思います。本作が少しでもそのお役に立つ映画になればこれ以上の本望はありません。本作が多くの人に愛される作品であることを心から願っております。